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ナノ粒子の開発金属粉、金属箔の研究・開発

銅・銅系ナノ粒子を開発しました。

ナノ粒子について

ナノ粒子とは、ナノ=10-9を表す接頭語で、1nm=10-9mです。ナノ粒子の特徴としては、固体物質の大きさが数10nm以下の粒子サイズになると、量子サイズ効果により融点が常温近傍にまで降下(融点降下)するなど、同じ物質のバルク状態(塊)では見られない様々な機能を発現します。

ナノ粒子の利用

ナノ粒子は、化学・素材の分野をはじめ医薬・バイオなど様々な分野で利用されており、今後も技術の発展が期待されています。特に、金・銀・銅などの金属ナノ粒子は、その高い導電性から電子部品実装用の微細配線形成への利用が研究されています。また、高い熱伝導性を持つことから高効率の熱伝導材料や、高い比表面積を生かした高活性の触媒などにも応用が期待されています。

銅・銅系ナノ粒子のプリンテッドエレクトロニクスへの利用

スマートフォンや電子ペーパー、デジタルサイネージなどエレクトロニクス分野の発展に欠かせない次世代配線技術として、プリンテッドエレクトロニクスと呼ばれる技術が注目を集めています。これは従来のフォトリソグラフィを用いた配線形成技術とは違い、導電性インクをインクジェットやスクリーン印刷などの印刷技術により基材上に直接印刷し配線パターンを形成する方法で、省資源、低環境負荷による低コスト化が可能です。

このプリンテッドエレクトロニクスの導電性インクに用いられるフィラーとして、金・銀・銅などの金属ナノ粒子の利用が検討され、多くの企業・研究機関によって開発が行われています。

現在のところ、導電性ナノフィラーとしては銀ナノ粒子が多く使われており、これは(金ナノ粒子に比べて)比較的低コストであり、製造中または製造後の酸化の心配が少なく、熱的・電気的特性、安定性に優れているためです。しかし、銀ナノ粒子インキを用いて配線形成した場合、イオンマイグレーションが起こりやすいという問題があります。そこで当社では銅ナノ粒子を用いたプリント配線パターン形成用インク、電極材用などプリンテッドエレクトロニクス分野への利用を研究しています。

FUKUDAの銅・銅系ナノ粒子開発

銅ナノ粒子 SFCPシリーズ

福田金属では、現在銅ナノ粒子・亜酸化銅ナノ粒子の開発を行っています。銅ナノ粒子SFCPシリーズは還元処理と分散処理を組み合わせることで、数10nmの球形形状ナノ粒子となっており、溶媒に高分散したタイプ(SFCP-10AX)は配線用銅ナノインクとして最適です。また、低温・短時間還元雰囲気での処理を行うことで、低抵抗の銅導体膜を形成することが可能です。また、SFCPシリーズでは、一次粒子径が数10nmの製品だけでなく、製造条件の違いにより一次粒子径が約200nm及び約500nmのサブミクロン領域の製品も取り揃えています。

溶媒高分散タイプ(SFCP-10AX)外観写真

TEM像
撮影:京大ナノテクノロジー総合支援プロジェクト

銅系ナノ粒子(Cu2Oナノ粒子)高濃度分散インク

酸化銅(Ⅰ)ナノ粒子を分散した高濃度インクで、長期間安定な分散状態を維持することができます。

粒子径は約50nmで分布にばらつきが少なく、特殊な製法により金平糖のような不規則形状をしています。塗膜化しやすく、低温度で導体処理することができ、高導電性の銅膜が形成されます。また、基材も自由に選ぶことができ、形成した銅膜にハンダ付けをすることも可能です。

インク外観写真

FE-SEM像

応用事例 ①
酸化銅(Ⅰ)ナノ粒子分散インクを用いたITO膜へのIJ吐出描画

導体化したIJ吐出描画;外観(a)

直線部分と理想的凹凸断面のAFM像(b)

応用事例②
酸化銅(Ⅰ)ナノ粒子分散インクを構成材料に用いたハイブリッド銅ペースト

ハイブリッド銅ペーストの外観(a)

フィルムに形成した印刷パターン(b)